貧困に対する個人的に危惧すること

 先日の報道でびっくりしましたが、日本の貧困率、税金や社会保障を差し引いた後の可処分所得
に関する偏差に基づいての相対的貧困率が、一位のアメリカの13.7%に次ぐ二位の13.5%
にものぼり、三位のアイルランドの11.9%を大きく引き離しています。アイルランド
イングランドへの依存で昔から貧困が問題になっていたそうですが、それを大きく
引き離した異常な数値です。これについては報道機関や大手ブログ様がおっしゃられていると
思いますので、たいした事はいえないと思いますが、これを政治学的に考えるとどうなるの
でしょうか?


 まず第一にいえるのは中産階級ないし新中産階級が没落し、階級の二極化が進むだろうと
いうことです。今現在アメリカや日本で起きているのは、経済的にはそれまで労働運動などで
技術や資格などを特に要せず、年功序列と賃金の下方硬直性で保持されていた中産階級を、
特別な能力や資格がない者の賃金を大きく引き下げる事とそれによる財・サービスの
価格戦略による利潤志向による低賃金化だと思います。


 そして第二に思うのは、歴史的に見て中産階級の没落は、政治における
二極・・・いや、もしかすると三極化をもたらす可能性があるということです。
つまり、一つは伝統的な穏健的民主主義政党と、貧困化によって新たなに
極左政党、そして何より危惧されるのは、過激な極右政党の台頭です。
でも少なくとも日本の場合、極左にしろ極右にしろ台頭しにくいかもしれません。
その代わり伝統的に続く財界や地方などの代表を行ってきた自民党
右傾化して中身がじょじょに変質していく可能性の方が大きいかと思います。


 第三に思うのは、社会の二極化とその固定は、国民の連帯感を大きく
引き裂くということです。「日本」という国がありますが、「日本人」では
なく、「上流階級の日本人」、「下層階級の日本人」と二つに大きく
断絶する可能性があるかもしれない、ということです。


 第四に思うのは、第二と第三の結論に反すると思われるかもしれませんが、
「国民」の分断に対する反動として、擬制的国民共同体の喚起、例えば
愛国心」などの喚起がなされるかもしれない、ということです。
すでにこの動きは始まっていて、日本青年会議所では愛国心を賛美し
戦中の日本の賛美、植民地支配の賛美を謳った「靖国DVD」などが
流されているようですが、それはともかく、社会の分断とそれによる
規範意識などの低下への反動として、擬制的国民共同体への団結の
喚起が起きるかもしれないと思います。
 以上のようなことは、僕の単なる杞憂にすぎなければ一番よい
のですが、あながち現在でもその兆しが見えない事はなく、
最悪の場合当たるかもしれない、と危惧します。。。


○あとがき・・・非正規雇用憲法改定問題


  先日の「貧困に関する一意見としての危惧」について大きく欠落
している問題があることに気がつきました。中産階級の労働運動の歴史や
賃金の下方硬直性の破壊も問題なのですが、もっとも悲惨なのは
非正規雇用が着実に増加していることです。その割合は労働者の32.9%、
若年層では46%にものぼります。これは危険な数字なのは言うまでもない
ことですが、政治学をかじった者としていえるのは、これらの方々は
政治に深い絶望感を感じられていて、一歩間違えれば極右主義に
走りかねないということです。


 でも日本の場合は極右主義などに走るのではなく、政治的無関心
蔓延、結果としての自民党などが有する組織票や公明党創価学会
などが幅を利かす恐れがある、ということです。


 しかも憲法改定という、国民的議論が本来は必要なことに
ついても、政治的無関心が蔓延して、結果、低投票率
この国の未来図が決まってしまう、ということの危惧です。
政治的無関心は企業への忠誠による正社員雇用などの
人々でも見られることですが、これら非正規雇用の方の場合は
深い絶望感があり、これは危険だと思います。


 憲法改定論議がもう少し「一般市民」の間で行われれば
いいのですが・・・現在はいわゆる革新支持層の間だけ
護憲の動きがあるだけで、本当に最低投票率を定めなかった
国民投票法案は、自民党は確信犯で狙って定めたんじゃ
ないのかなと思います。。。



○後記
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