中露の「3つの戦端」の前提としての、「第0の戦端」での「鉄砲玉」な北朝鮮の危険性

 先日、金総書記がロシアを訪れたニュースがありましたが、中国と北朝鮮自体は元々関係が深いですが、ロシアとも、恐らくはソ連東欧崩壊時に核開発技術者、ミサイル技術者と、もしかするとプロトタイプとしての「現物」や必要部品、工作機械などが流出して北朝鮮に入った可能性は、かなり高くそれ自体はよく確定情報ではないにせよ、言われていました。

 ただ、その後のプーチン政権(メドベージェフ氏と交代交代に大統領と首相を繰り返していた期間も含めて)その政権誕生後以降、北朝鮮の核開発と弾道ミサイル能力は、こういってはよくない表現かもしれませんが、とてもではありませんが、少しソ連東欧崩壊時にヘッドハンティングに成功し、場合にっては必要物資類とともに流出させて手に入れたにしても、そのあらゆる国力に比して、異常ともいえる異例なスピードで、核開発も弾道ミサイル開発も進み、わずかな間に水爆とICBM製造まで達成してしまいました。これは、北朝鮮ソ連東欧崩壊時に手に入れた技術者や物資などによるものというだけで、説明が付くものなのでしょうか。

 恐らくは、少なくない方は、中国の支援もあるにせよ、核開発とミサイル技術に関しては、ロシアがプーチン政権誕生後のどの時期からかは私には分からないのですが、支援があって、それによってできたのがそれら現在の技術水準だったと思ってしまいます。では仮にそうだとしたら、中国ならイメージが湧きますが、ロシアは何故北朝鮮にそのような援助を、もしもあったとしたら、したのでしょうか。

 それは、私は最初、対アメリカにおいて、実際にアメリカまで飛ばせるICBMの技術までもわざわざ与えてまで、あの強烈な反米国家である北朝鮮アメリカ本土への核攻撃能力を持たせる、北朝鮮側は通常兵器の軍事力を北朝鮮の国力でどれだけ頑張って増強したところで、砂漠と山地や山岳地帯で違うにせよ、あのイラクですらあっけなく負けてしまった、しかも大量破壊兵器を本当に正直に真面目に放棄し破棄していたのに、ろくにちゃんとした立証も無く攻め込まれて滅ぼされサダム・フセインをわざわざ裁判に出し死刑判決を出して死刑にした、という悪夢のような父・子、両ブッシュ政権の残した「負の先例」が、加えればカダフィ大佐も同じように本当に正直に真面目に核開発をやめていたのに、滅ぼされ殺されたという「負の先例」があり、あれをみたら正直に核開発の放棄をするわけがないのは明らかと言えば明らかな、とてもごもっともな事でした、我々日本人にとっては、そんなアメリカのせいで完全に意固地というか無理にさせられてしまって、そう事情を考えると両者に腹立たしくなりますが。

 お話が逸れましたが、どちらにせよ核開発しか自国をアメリカかアメリカの支援を受けた何らかの他の存在にうまく滅ぼされて独裁者はちゃんと息の根が止められたのを確認されるまで追い詰めて殺して確認する、という、そういったのを恐れた北朝鮮には、国防方針としてはそれしかなかった、通常兵器の更新など後回しかそもそも投げ捨て、ひたすら先軍というか核開発最優先でやっていくしかありませんでした。

 しかし、ここで、北朝鮮アメリカに攻め込まれないためには、確かにアメリカまで到達するICBMまでも開発すれば、それはアメリカは文字通り撃墜できなければ、アメリカ本土で核爆発が起きる、と思えばそれは攻め込めませんが、そこまでやらなくてもイランのように、中途半端に開発途中で、ただイラクリビアのように言葉が悪いですがバカ正直に完全放棄すれば攻め込まない何もしないというアメリカの「約束」を信じる事をせずに、開発は維持する形での駆け引き、でも十分に攻め込まれるのを抑止できてしまっています。


 もちろん、イランの国土がアフガンニスタンの時のように完全制圧するために攻め込むには極めて地形的に悪い、仮に勝っても多大な犠牲が、その時の戦闘とその後の占領維持での残党軍との戦闘での被害が、とてもアメリカ政府には許容できる「アメリカ人の死」の数ではなく、それを強行してもまともに維持できない、という、第二のアフガニスタンになるだけなので、しない感じだというのがあります。

 そうだとそたら、これは地形的にある意味では似ていて攻め込みにくく、何とか首都は落とせても残党軍がゲリラ戦をしかけてきていつまでたってもまともな統治をできる政府やもしくは直接占領までしたって全然維持できないであろうことは明白だ、という北朝鮮なら、当然同じ事で、本来的になら、北朝鮮アメリカに攻め込まれないように核開発をしたくて核開発をするのは当然で、しかし、アメリカからの強い圧力のため、実際には核開発の途中の段階で小康状態というか、綱引きの状態というか、確かに圧力を受けそれ以上開発できない状態で膠着するのが、イランという北朝鮮にある程度地形など攻め落とすのにかかるコストが同じか、後に申し上げますが本来は高い、そういう例があるため、「何の影響も受けていないなら」、北朝鮮も、いいところまでいっても、黒鉛炉などの原子力発電所の建設までいくかいかないかで、頑張って行くのに成功したとしたら、プルトニウムの製造の段階をとにかく圧力をかけてIAEAを強引になんとか入れてストップの状態にさせそこで均衡するはずだった、はずです。


 なのに、「どうして北朝鮮はイラン以上に核開発もミサイル開発も達成してしまえたか」、それ自体はもう言うまでも無く、中国の黙認の上、もしくは一部協力しながら、でもロシア主導の直接的で強力な技術支援であるのは、そうでないと作れないほど弱い国力な北朝鮮が驚くほどのスピードで実際作ってしまったから、という状況が証拠になってしまうと思うのですが、それがどれくらいの支援だったのかは、惜しみない技術支援から、それどころかもしかしたら「プロトタイプ」になる「現物」なものまで提供したり必要なロシア製の部品や物資の運び込みまで、下手をするとするくらいの強力すぎる強行過ぎる支援を行った結果ではないのかと思います。

 長々と誰にでも想像できてしまう事で、そんなのはとっくに想像は誰でもついているが、その確たる証拠を示す事ができないから苦労しているんだ、ととても当然お気持ちの分かる事をおっしゃられるのは分かるのですが、実のところ、情報収集をして実際の直接的な証拠をつかんでみけられれるような力など私にはまったくなく、せいぜい新聞、テレビ、インターネットで見られる海外の記事や情報くらいで、とてもそんなことを立証する力はありません。

 ではどうしてこんなに長々としたのを書いて、何を言いたいのか。「どうして北朝鮮アメリカまで到達するくらいのICBMと水爆まで開発したか」が問題だからです。

 もちろん可能なら誰だってと、と言うと物騒ですが、どこの反米国家や、反米でなくとも、何の国内的国外的制約さえなければ、国防担当者なら予算的な面や実際の運用能力が自国で作れるなどの検討をした上ででしょうが、それさえクリアすればどこの国であっても国防担当者なら、「アメリカ本土に届くくらいのICBMと水爆」を持てるなら、持ちたいと思おう、特にアメリカに攻め込まれるのを心配している国家なら、そのさっきの「負の先例」としてのイラクリビアの例を考えながら自分の身を考えると、当然欲しいと思うでしょう。

 ですが、当たり前ですが、イランの例のように、核開発段階で監視されストップするよう圧力をかけられ、核爆弾を運ぶためのミサイルの開発だって、「何の援助もなければ」、ICBMが作れるほどの技術に達する前の実験の段階で強い圧力がかかり、作る事が事実上できない、というのが、長年イランが示してきた限界例でした。

 しかし、それがロシアの強力な主導のもと、もしかしたら中国も黙認だけでなく協力しつつ、ストップさせたくても、「北朝鮮が単独で核開発とミサイル開発をするならストップがかけられるはず」の速度を超えたスピードで、急ピッチに核爆弾とそれを運ぶ弾道ミサイル開発は、ろくに失敗することもなく、「できあがってしまいました」。

 原子爆弾、原子の核分裂反応での核爆発を起こす爆弾は、とても恐ろしいものです。そして、ソレを飛ばす弾道ミサイルも、数百キロも飛んで目標にあたって爆発させ、とても恐ろしいものです。
だから、原子爆弾、原子の核分裂反応の核爆発を起こす爆弾を搭載し発射されると数百キロ飛んで核爆発を起こせる核ミサイルは恐ろしいです。

 そうなのです、それは確かに、ものすごい強力で強行な支援があるから、その次の段階へ、さらにその次の段階へと、どんどん進めて、最終的に水爆とICBMを持つのは、それは持てるなら、先述のように、国防担当者なら欲しいと思ってしまうでしょう。

 ですが、「欲しい」と「充分」というのは違います。ある家、といっても、50坪くらいの、一般的な家よりはちょっと狭めかなという、家の人がいましたが、隣から色々ものが飛んでくるので、隣の家にはすごい嫌な顔をされ嫌がらせられ警察まで呼ばれながらも、なんと、とても親切な近所のひとが、作業を手伝ってくれて作り方も費用も出してくれて、3mの壁ができて、シャットアウトしました。これでもう、よほどのことがない限り、3m以上飛ばしてものを投げてくるなんて、まああり得ないだろうと安心できるくらいの高さの壁ができました。でも、その親切な近所の人は、まだまだ危ないしまだまだ壁は低い、いくらでも支援して高い壁を作らせて上げるから、作りましょうよ、といわれ、「まあ、壁が高ければ高いほど安全だしなあ」と思い、親切な近所のひとの手伝いもあり、自分では作れそうもなかった立派な5mの壁ができました。「これで安心だ」と思いましたが、親切な近所のひとは、「いやいや、色々と可能性がありますし、備えあれば憂いなし、壁は高ければ高いほど安全ですよ、といって手伝い、なんと最終的に高さ100mの壁ができました。

 ………これは、それは100mある壁なら、隣の家から何か飛んでくる可能性はゼロに近くなるでしょう。まあ、日照権というか、その家が完全に日陰になるから非現実的だ、というのは置いておいて、元々、「3mの壁があれば十分安全だろう」と思っていたのに、近所の親切なひとのごり押しを聞いて、「まあ壁は高ければ高い方が安全か」と、50坪の家に5mの壁、そしてその理屈でどんどんいったら、50坪の家に100mの壁ができました。それは「安全が欲しい」というのは満たしますが……その「近所の親切な人」がいなかったら、そこまで壁を作ったでしょうか?

 周囲はそんな壁が出来ると困ると行政に訴えたり差し止めの裁判を起こしたりとしようとしましたが、おろおろする家のひとを「近所の親切な人」が手伝って、まるで伝説の大工のように、ものすごいスピードで壁を作ったため、そういうのは間に合いませんでした。もし、家のひとが自分で作るなら、3m作るのがやっとで、それ以上は試行錯誤しながらしないと無理で、そんなことしてる間に近所の人が行政を呼んで、裁判所からは建設を一時中断するよう命令が出て、そんな100mの壁は夢物語なので、必要でもないし、まあ3mで十分だったのです。

 下手なたとえ話でしたが、そんな北朝鮮に身の丈に合わない水爆とICBMを、どうぞどうぞと作らせたロシアと、場合によっては中国も、何を考えてそんな援助をしたのでしょうか。

 本当に下手なたとえ話とかで長々となり、結論から申し上げればよかったのですが、早い話は今起きている事の布石ではなかったのか、つまり、「第一の戦端」でありロシアの「核心的地域」であるウクライナ、「第二の戦端」でありイスラムの「核心的地域」であるエルサレム、「第三の戦端」であり中国の「核心的地域」である台湾、それを、時間差を置いて多発させアメリカと「私たち」自由民主主義諸国に、三正面作戦をしかけること。それが前回書いたものですが、その前にひとつだけ、やれればやっておいたほうがいいと思っているであろう、「第0の戦端」があります。

 それはすなはち、まだ北朝鮮とは親密なだけで同盟関係にあるわけでない、ただ暗に強力に協力し開発させ持たせただけな、ロシアと中国が、「北朝鮮の暴発」として、第二次世界大戦後以降、タブーとされてきた、「核兵器の使用」という「負の先例」を作らせる「鉄砲玉」ではないのか。

 状況に応じて実際北朝鮮を暴発させるかはコントロールできる状態にあり、実際やろうと思えば暴発させられる状態にあるとみた方が良いのでは無いでしょうか。そしてもし、暴発させるべきタイミングがきたら………わざわざ水爆とICBMまで持たせたのです。恐らくがアメリカ本土だと思います、ですが、場合によってはもしかするとそれが撃墜される可能性が高いと断念せざるを得ないなら、「ご近所の北朝鮮の敵国」、つまり、日本、韓国において、ロシア中国の利益的なものを考えるなら、なるべくなら米軍基地群を狙わせるのではないでしょうか。

 先にやらかした北朝鮮は「またもや原爆が使用され多くの犠牲者を出した核使用国」として両陣営から批判される、といっても、中露など「新しい国連」勢力側は、「しかしかといって、北朝鮮にもやむを得ない軍事的圧力下にあったことは否定できない」と、完全否定はしないか、もしくは本当に鉄砲玉として切り捨てられアメリカからの報復核攻撃で滅ぼされるままにするか、どっちか分かりませんが、問題は「負の先例」、つまり、「核兵器の使用をしてはならない、というタブーを破る」というを北朝鮮に破らせれば、あとはタブーだったものは、破られていなかったから先例をつくらなかったからこそ、タブーであったので、北朝鮮核兵器使用という事実から中露は、何ら気兼ねなく、もしくは北朝鮮へのアメリカの報復核攻撃を待ってから、その後に、「アメリカも使用したから」と、それこそ本当に何の気兼ねもしがらみも掟も遮ることなく、「第三次世界大戦における核兵器の使用の解禁」をするのではないか、と非常に私は危惧しています…。。。。