バルカン半島的状態な中東情勢と中露イスラムの「新しい国連」

バルカン半島的状態な中東情勢と中露イスラムの「新しい国連」

 ハマス第四次中東戦争の事実上の開戦日である10月6日にイスラエルに対し、ロケット砲攻撃だけでなく、実際の戦闘員を進軍させイスラエル側に侵犯し多くの人を殺害して始まった、イスラエルハマスの「戦争」は、ただでさえ複雑な中東情勢、いわばウィーン体制の時のバルカン半島のような、「現代の火薬庫」としての中東情勢において、とても恐ろしい情勢を導き出す可能性があります。

 最近になりロシアのプーチン大統領の発言で「新しい世界秩序」という言葉が複数回出ている事が報道で注目されました。それが意味するところを考えると、2022年03月18日に書かせて頂いた<a href="http://utopian20c.livedoor.blog/archives/28396240.html" target="_blank" title="">「現在のロシアと戦前日本の奇妙な類似性と「新しいもう一つの国連」の可能性の恐怖」</a>に描いた「新しい国連」の出現がいよいよ現実味を増してきたのではないかと極めて強く危惧します。
 
 何故ならば、ロシア・ウクライナ戦争が始まった前後くらいから、親米であるはずのサウジアラビアを含めた中東諸国はアメリカから距離を置き始めたように思えます。それが何を意味するのか。ロシアがシリアと極めて親密な関係にあり、先日実際にロシアとシリアは合同軍事演習を行う関係性まで高まっています。その第四次中東戦争の参加国であったシリアと、アメリカから距離を置き始めた中東、石油という世界的に重要な戦略資源を握っている、中東とロシア、彼らがもし手を握ったとしたら、シリアが仲介する形でか分かりませんが、第四次中東戦争の参加国は特にイスラエルも対する憎しみが、間接的にアメリカへの反発心がある、その状態でロシア、そしてもしかしたら中国が、「アラブ側支持・反イスラエル」を打ち出したら、世界が「イスラエル側vs反イスラエル側」と二分された第一次世界大戦のバルカン情勢のような負の軍事的関係のビリヤードの結果が起きてしまう、その結果として、中露を、場合によってはインドも含めた、複数の大国とイスラム諸国やアフリカの複数の国家、南アメリカ大陸の反米国家が作り上げる、人口的にも面積的にも資源的にも、もしかすると参加国数的にも、それらの国々が脱退した現在の国際連合より、「国際的な」と主張されそのように多数派なため否定のしにくい、「第二の国連」が出来る可能性が極めて高まったと思います。
 
 ロシアと中国が手を握り、もしやるならば、同時に、ロシアは「核心的地域」であるウクライナ、場合によってはバルト三国、東ヨーロッパを含めた地域を、中国は「核心的地域」である台湾、場合よっては領有を主張し対立している東南アジア諸国、あと北朝鮮を取り込んだため韓国と日本を、同時多発的に攻撃して二正面作戦をアメリカとヨーロッパ、日本、韓国といった、私が言うとなんだが用語に反感があるのですが、自由民主主義諸国vs中露、という形になるはずで、連携していないから中国側からすればロシアのウクライナ侵攻は寝耳に水だったのか、と思っていました。しかし、同時に限らないでいいのならば、というより時間差を置けば軍事的には敵側、つまり「私たち」の戦略的配置が、あっちこっちと混乱するため有利である状態になると考えが変わったのは、「第二の戦端」である、中東地域という可能性が現実に起きてしまったからです。つまり三正面作戦を強いるつもりなのかもしれません。
 
 その結果、世界は下手をすると、中露、場合によってはインドを含めた大国と、イスラム中東各国、南アメリカの反米国家群、アフリカの中露の支援を受け親中露となった諸国群を合わせた国家群が、一斉に現在の国連から脱退する、もしくは名目上は脱退しないでかもしれませんが、いずれにせよ「我々の方こそ国際的な存在である」という、「第二の国連」の誕生が危惧され、その前後、「第三の戦端」である中国、ロシア、北朝鮮による台湾を核心としつつ東アジアと東南アジア諸国への軍事的侵攻が十分に開かれる可能性がある、つまり、アメリカに、アメリカとヨーロッパ、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド南アフリカといった自由民主主義諸国vs中露と場合によってはインド、そして先述した反米新中露諸国といった形での、文字通りの「第三次世界大戦」が起きる可能性が否定できない確率になってきたと極めて危惧してしまいます。
 
 その場合、日本はどうするべきなのか…現在の日本政府は急ピッチにミサイル数千発や様々な軍拡を行っており、左翼な私としては軍拡には反対ですが、軍拡した後なり軍拡が阻止された後なり、どちらか分かりませんが、そのように「第三次世界大戦」が起きた場合…日本はアジア地域の「第三の戦端」の最前線で先兵となり尖兵となり最重要の軍事基地、「不沈空母」となるのか…。私は日本政府は、実際的なところ、そのような無謀なことはしない可能性があるかもしれないと思います。すなわち、アメリカとの関係で巻き込まれると思われた第三次世界大戦において、我々日本国は、日米安全保障条約上、参戦義務はなく、かつ憲法第9条における規定において、日本国領土が侵犯されない限りにおいて、「専守防衛」を堅持する……すなわち、第二次世界大戦での永世武装中立スイスのような、もしくはせめて第二次大戦時中立国だったスウェーデンのように、武装中立の形で日本を護ろうとしているのではないか。だとすれば反戦平和を本意とする私のような左翼には、全世界が戦争中の中、日本だけが武装中立の形で平和を維持するのは本意に反するかもしれませんが、私たち左翼はどちらにしてもは憲法第9条は、なおさら堅持するべき存在として、改憲に強く反対していくべきだと思います。


(自分での補足コメントですが、現代においてハマスセルビアの「黒手組」となってしまう可能性があり、後の歴史でそのようなことが言われる可能性があるかもしれないと思いました。)