医療に関するTPPの問題について・その2

 「医療に関するTPPの問題について・その1」の続きになります。
間違っている内容などありましたら、ご指摘頂ければ幸いです。

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>○○さん
 すみません、あくまで「新自由主義者の遺物としての理想」だとしたら、ということで、○○さんがそうだと申し上げてるつもりはありませんでした。申し訳ありません。


 確かに現在の医療制度が極めて危機的な状態、破綻しかねない状態にあるのは確かだと思います。それを回避するための策としては、左派は企業の保険料負担を
増やし、公共事業や防衛費などの削減で社会保障に回すべきだと主張し、右派は受益者負担として現在の3割負担をもっと大きく、4,5割負担にし、かつ増税によって社会保障費分をまかなえばいいという論理になっているかと 思いますが、納得できる答えがなかなかどちらの場合も難しく、出ていない状態かと思います。


 その中の処方箋の一つとして、健康保険の自由化、というものがあるのは分かるのですが、問題は非営利で行ってる国民健康保険が成り立たないのに、営利で行うはずの民間の保険会社が行って利益を出すのはどういう風にするか、ということです。


 ○○さんならご存じだと思いますが、マイケル・ムーア監督の「シッコ」という映画でその民間の保険会社が、僅かでも加入前に申告しなかった事柄があったら、
保険が下りない、本来は加入時に申告通りか調べるなら分かるのに、保険申請時に調べ上げるのは保険会社が保険料を支払わないようするためだ、と描かれています。


 アメリカにもメディケイドという形で公的医療保険があり、公的保険制度と自由化は並立していたのですが、現実は公的医療制度と自由診療との極端な医療格差、
という形になっているのは映画の通りかと思います。


 何も民主党に限りませんが、協議会参加に関しては、情報を得てそれを国民に説明してどうするか相談する、という理想的な形ではなくて、お役所のパブコメや住民説明会のように、単に「意見を聞きました、協議しました」という建前を作った上で真の意図である政策の既成事実化を行う、という事が懸念されるからだと思います。これは左派が憲法調査会というのを設立したとき反対したのに見られるような現象かと思います。


 確かにTPPでも交渉の余地があるのかもしれませんんが、包括的に地域全体を共通化するものですので、FTAの場合とは違って、「話し合ったから決まった」となったら例え日本側の主張が通らなくてもそれを実施しなければならないという問題があります。 ですので、FTAの方が国情に併せられていいのではないか、と申し上げた次第です。


 日本医師会に限りませんが、色々な利益集団、圧力団体と言えば一般的かも しれませんが、存在するのは事実です。また日本の医師の場合、確かに 医師会に入らないと、不利になるのも事実ではあります。ですが、それが医師会が既得権益を守るためにTPPに反対している、という事になるかは、またお話が別になるかと思います。


 もちろん、利益にならない事を利益集団がする、というのは多くはない事ですが、彼らの既得権益が何か、といえば、健康保険や薬価などの保険料支払いだと思いますが、それは年々政府により引き下げられていて、そのため日本医師会がこの前の衆院選で投票を拘束せず自民党を支持しない、という現象が起きました。そのように、国民健康保険制度が医師会の既得権を守るため、というには、国民皆保険制度での毎年の医療費削減のための保険点数の引き下げで、病院経営が成り立たなくなっているような状態なため、既得権益のせいかは正直分かりません。


 小泉政権の場合は確かにその通りだと思います。痛みを伴う改革を、と痛みが出る頃には内閣は終わっていて、その内閣時に決めた責任は法的には追及されないし、マスメディアでもたいして追求されずに終わってしまいました。そのような事を考えると、TPPに関しても、政治主導という単語が流行りましたが、各企業や各個人が、「みんなでこうすれば全体として良くなるはずだ」と思っても、自分以外に強制できないため、長期的には非合理的だと思いつつも出し抜かれる事を考えて、非合理的な事をしてしまう問題がありますが、そこにおいてこそ、政治という公的存在による長期的視野に立った、一見非合理や非効率な事でも長期的には利益になることを、追求する「政治主導」が必要なのではないでしょうか。

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 製造業のリーダーとして、とても重責なポストにいらっしゃる経済人の○○さん的には、TPPに参加すべきでないという理由である、農業だったり医療保険制度だったりは、もし日本が参加しなかったら、他国より不利な立場になって、日本の輸出産業が終わってしまい、そうなって日本経済が破綻すれば、国内の農業や医療保険制度を一時的に守っても、経済力の低下でどのみち失われる、というお気持ちもよく分かります。


 ただ、TPPによる標準化は、10年ほど前に言われたグローバルスタンダードというような単語で言われたアメリカの国益に合う標準で、日本がそれを日本経済が回復する、
と思って行ったのが、実際は内需の極端な縮小、産業の流出と中国産など安い製品による国内製品の駆逐、外資の企業買収、労働法の緩和での貧困化など、日本経済が回復したとは思えない、「実感なき景気回復」となりました。


 その結果、景気回復時だと言われていた当時でも良い状態とは思えない状態だったのが、景気が悪くなった今、さらに悪化して崩壊しているのを見ると、果たしてTPPというスタンダードを受け入れる事が、景気を回復させる、日本をよくする事か、と個人的には危惧してしまいます。


 そのため、全体で決めたから、と強制される標準化ではなく、ここのケースを調整する、FTAの方がいいのでは、輸出産業で関税を無くす一方、国情にあった留保を交渉する、という方が先に行って考えるべきなのではないのか、と個人的には思いました。



○後記
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