医療に関するTPPの問題について・その1

 再利用で申し訳ないのですが、mixiの下の日記で、色々TPPに関するお話をできた記事へのコメントを載せさせて頂きます。

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TPP参加で「自由診療」普及 金持ち用病院登場する可能性も
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1798590&media_id=125

お医者さんをされている方が、極めて興味深い小説を書かれていらっしゃるので、 紹介させて頂きます。このようになる確率が高いかと思います。

2018年 菊花病院
http://ncode.syosetu.com/n6668d/ (※2013.07.27・書籍化のためリンク切れ確認)

2018年 地中海病院
http://ncode.syosetu.com/n0204e/(※2013.07.27・書籍化のためリンク切れ確認)

※2013.07.29追記
 残念ながら「小説家になろう」に小説を載せられていた作者様が小説を削除されてしまって、現在は書籍でしか手に入らないようです(汗)


 本を買ってみましたが、大幅な加筆がなされていて、非常に伝わってくるものがあるかと思います。ただ、医療保険の民営化の問題を幅広く伝えるために、概略的な意味で、ネット上に加筆前の小説が導入部分的だけでも残って欲しかったと、残念に思います。書籍はこちらの方のです。

2018年菊花病院・2018年地中海病院

2018年菊花病院・2018年地中海病院

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>○○さん
 そうですね、確かに自民党民主党の攻撃策として政治的に論点を用いている面もあり、 これが自民党が与党だったら民主党は反対してるだろうと個人的には思ってしまい、きちんとした議論が必要なのだと思います。


 TPPでの健康保険の民営の問題でご指摘されているのでは、まず全員が同じレベルの 治療を受けなければならないか、については、逆に言えば全員が同じレベルの治療を経済力のせいで受けられない事がいいのか、という問題があります。


 経済格差が医療サービスの格差に繋がる事を自己責任論や市場原理の論理を 用いて論じる方もいますが、ミクロな効率性が市場原理化などで高まるのに反して、マクロな効率性での国全体としての効率性、つまり労働力の保全作用などが失われ 効率性が落ちるという問題は、ケインズやヴィクセルが指摘していて、それゆえに非効率な物、例えば市場原理に反する政府介入などの不均衡を用いる事が、 マクロ的均衡をもたらすといった、「不均衡の均衡」という経済思想は、必要なものではあるのではないかと思います。


 小説内では富裕層、自由診療を受けられる人達からの保険料収入がなくなり 公的医療が成り立たないレベルになるケースが描かれています。そのように、皆保険制度の崩壊で、「最低限の医療」のレベルが下がるのは十分に考えられるかと 個人的には思います。


 今の先進医療、保険外診療の場合が、混合医療の問題としてよく言われる問題ですが、 今ですら混合医療により医療格差が起こっている事が問題となっているのに、さらに混合医療が進めば、より問題が深刻化するだろうと思います。

 日本医師会が反対する真意に関しては、これは憶測の域を出ないので分かりません。


 しかし、○○さんを始め、主に輸出に関する第二次産業に関わるお仕事をされている方にとって、TPPを結ばなければ日本経済は他国より不利な条件なため後れを取る、というお気持ちはよく分かります。日本経済全体が落ち込んだら、農業保護をした場合の 高い野菜が買えないじゃないか、と矛盾に感じられるのも分かります。


 ただ、関税障壁の撤廃の場合ですと、TPPの場合はかなり条件が厳しい、そういった健康保険の自由化まで含むものですが、FTAの場合はある程度留保をつけられるので、FTAの形で関税障壁、非関税障壁を撤廃する形で、輸出産業保護を保護する一方、農業や医療など、 国家に関わる問題についての留保も行えるので留保をつけて保護する、といった事が可能かどうか、まずそれを各国に打診してからTPPは考える問題では ないかなと個人的には思います。

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 付け加えさせて頂ければ、小泉政権などで行われた「構造改革」というものが結果的に何をもたらしたか、何故内需主導型経済であった日本が外需依存型経済になるほど内需が縮小したのか、といった問題があります。


 それは、新自由主義の唱える市場原理での最適な効率的均衡による財、サービスの向上といったものが、IT革命が同時に起きたことで、極めてミクロレベルでは効率的に均衡するようになりましたが、「悪いプレーヤー」に対するサンクションといいますか刑罰が日本の場合は、アメリカの懲罰的損害賠償などがないため極めて小さい、といった問題で、「悪いプレーヤー」がはびこるなどマクロ的な効率性が低下して、全体として悪化する、問題性がある事になってしまったと思います。


 その結果的にそれが経済安定性、つまり信用性であったり、安定雇用を背景としていた住宅や車などの耐久消費財などの割賦購入での内需が、労働法が機能不全に陥った事により失われた事、長期的視野が必要な教育や医療、福祉といったものが、短期的効率性を求められて、不安定になってしまったこと、金融自由化によって進んだ株主主権論などによって、企業が今までは長期的視点による成長戦略が行われていたのが、株主への配当などの問題で、その各期間などの極めて短期的な利益を求めての近視眼的戦略行動になる、といった形で様々に失われ、マクロ的に極めて悪化したのを考えると、 「新自由主義の遺物」としてTPPがあるとしたら、それで思い浮かべられる理想は、現実的には極めて裏切られるのではないか、と個人的には思います。


※忘れていましたが、この小説はTPP批判で書かれたものではなく、2008年 02月 15日に書かれたものを、健康保険の自由化の例としてとてもよく書かれていると思い、僭越ながら上げさせて頂いた感じです。



○後記
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