「もう一つの社会」の立つ岐路〜フランス大統領選挙から考える〜

グローバル化・・・「もう一つの社会」であったフランス社会の岐路


  ソ連東欧崩壊以後、世界は自由主義・民主主義が大勢を占める、ないしそれが正しい事だと
される社会へと変化しましたが、その中でも西ヨーロッパは、ユーロコミュニズムなど特色ある
社会民主主義運動が根付いていて、さらにその中で、100年ほどの歴史を持つフランス社会党
80年ほどの歴史を持つフランス共産党らのフランス左翼陣営は、1930年代の人民戦線時代
を経て、さらに独自の価値観、世界観を持って今に至り、同じ「自由主義・民主主義」勢力でも、
アメリカ型自由競争主義(新自由主義)」か、「フランス・西欧型福祉国家主義(社会民主主義
の二つに二極化しているように思えます。


 残念ながら日本は自民党政府により、アメリカ型自由競争主義(新自由主義)を取り入れた
わけですが、例えば私たちの日本社会は現在停滞の一途をたどる出生率とそれによる
国力の弱体化が懸念されているわけですが、フランス・西欧型福祉国家主義(社会民主主義
ではEU加盟国の多くは同様に少子高齢化に直面しても、手厚い子育て支援などの、
ありふれているといわれるかもしれませんが、しかしだからこそ有効だから用いられる政策が
行なわれ、特にフランスは出生率2.0という高水準を達成、「アメリカ型自由競争経済」
に生きる日本人に、「もう一つの社会」として参考とすべきモデルを提示してくれました。


 しかし2007年のフランス大統領選挙においては、アメリカ型自由競争経済(新自由主義
に転換するという与党・国民運動連合のニコラ=サルコジ候補が登場し、少なからぬ
波紋を呼んでいるようです。サルコジ氏は現在の厳しく定められている35時間労働制を
残業や解雇権を企業家側に認める事を訴えていますが、これは極めて今までの
フランス社会とは異なるものです。


 一方の野党社会党の擁立するセゴレーヌ=ロワイヤル候補は、それとはまっこうから
対立し、現在のフランス経済の国際競争力を、サルコジ氏のいう自由化によるものではなく、
労働者のやる気を起こさせるためにさらに最低賃金を20%引き上げ、また起業を行なう
若者に対して積極的な助成金を交付することを経済政策としています。


○おわりに・・・新自由主義vs社会民主主義の代理戦争?


 以上のような政策差があるわけですが、これはフランス一国内の単なる大統領選挙なの
ではなく、憲法改正にも匹敵するほどの非常に重く根源的な論点、フランス国民にとって
フランスという国をどのような形にして子孫に残すか、という意味でも、また、世界の人々に
とって、このフランス大統領選挙とは、「アメリカ型自由競争社会」(=新自由主義)と
「フランス・西欧型福祉国家(=社会民主主義)、どちらが勝利するか、西洋型福祉国家
社会民主主義が倒れ、世界やいよいよ新自由主義によるアナーキーで弱肉強食の、
格差社会が世界全ての大勢となるのか、その試金石としてもこの選挙は重要だと思います。



○後記
よろしかったら↓のランキングにご投票をよろしくお願いしますm(__)m

人気ブログランキングへにほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

web拍手 by FC2