「秘密保護法案」を絶対廃案に!


  サボっていたのと、調べるのに手間がかかって、今さらな記事で申し訳ありません、6日に強行採決という予定が言われている「秘密保護法案」ですが、調べれば調べるほど、どうも闇が深いようです。


 「秘密保護法案、国防、集団的安全保障のためにいいじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実のところ国防については「日米相互防衛援助協定秘密保護法」「防衛秘密」「特別防衛秘密」などの規定で極めて厳しく制限されており、かつ実は今まで、「防衛秘密」の公文書の保存、作成を定めた公文書管理法の適用を受けずに、知らずに破棄されていた、という闇が既にありました。


「それならば法制化することはいいことじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、第一に、そのような「防衛秘密」や「特別防衛秘密」などは公務員を対象にしていて十分に機能していたのに、その対象が国会議員、弁護士、裁判官を含む国民全体に広がる事が問題です。




 この場合、公務員の秘密漏洩が懲役10年、国会議員の場合5年と、議員まで対象になっていて、まさに民主主義が死んでしまう法律だと言えます。また、「管理を害する行為」とその「共謀、教唆、扇動」も処罰の対象で、これはマスメディアから、例えば現在、原発を管理する経済産業省省庁前で毎週金曜日にデモがなされていて、「情報を公開しろ!」と叫べば、法的には立派な「煽動、教唆」として逮捕できるという恐ろしいものです。


 自民党の石破氏が自身のブログで「絶叫デモはテロと同じだ」と言いましたが、この「秘密保護法案」が可決した場合、民主主義において極めて大きなものなのに、今まで東京都公安条例などの条例や、道路交通法で無理やりデモを抑えこんできた日本のデモを、文字通り場合によっては「テロのための教唆、扇動」として国民を逮捕する事ができる、そういった事情を石破氏は考えているのかと疑問に思います。


また、先述のような「市民が情報開示を求めた場合」もそうですが、加えてマスメディアの取材も、「特定取得行為」として処罰の対象となります。[[「正当な取材行為は処罰されない」と主張されていますが、その「正当な取材」かどうかを決めるのは警察官僚の側で、それが不当であったとしても、「特定秘密扱いの事件でそれは開示できない」とされてしまうのが、極めて恐ろしい事だ]]と思います。


 この「正当な取材」に関し、「秘密保護法案」の前から、デモなどに参加した国民や国会議員や記者を対象し監視してきた、自衛隊情報保全隊ですが、その「正当な」「報道または取材の自由」というものに関し、仙台高裁で行われた情報保全隊による国民関し差止め訴訟控訴審の7月1日の元情報保全隊長に対し、原告側弁護士が行った質問のやりとりが参考にあるかもしれません。


・元隊長:隊員に報道の方が広報を通さずにそういう(取材をする)ことはないと認識しております。

・原告側弁護士:(広報を)通さない取材は問題ある取材だと考えているのですか?


・元隊長:いや、それは取材ではありません。


・原告側弁護士:官庁の前で、そこの職員と思われる人にマイクを向けて聴く場面がありますが、そういう場合はどうですか?


・元隊長:場合によっては(監視対象に)取り上げることがある事があるかもしれません。


  とのように、「広報部を通しての取材のみが正当な取材」と、この「秘密保護法案」を実際に運用する部隊である情報保全隊が、認識しているのを考えると、「正当な取材なら認めれれるのだから」というのは極めて疑問視されるもので、当然ながら国民の「知る権利」を非常に大きく侵害する法案です。

  第二にその先述の既に定められている「防衛秘密」や「特別防衛秘密」や、情報保全隊の「部外者からの不自然な働きかけへの対応要領」などというもの自体、この法案があったら、議員やマスメディアが調査したり訴えたりすると秘密対象として処罰されていたというくらい、「秘密」の幅が極めて大きいことが問題です。現在ですら、外交・防衛についての情報は情報公開請求をしてもまったく出てこないレベルなのに、「情報公開法」があるのにこの状態であるのに、さらに「秘密」としてさらに保護する事になれば、どのような事になるか、容易に想像ができるかと思います。


 当然ながら、「特別秘密」とされるそれらの情報は、「情報公開法」の対象にも、「公文書管理法」の対象にもならず、闇に消す事ができるものです。この「秘密保護法案」がアメリカとの同盟関係において必要だから、と主張されることがありますが、アメリカは「会議公開法」や50年後は公開になるため全公文書は保存しなければならないという「公文書公開法」などの、情報公開制度とマスメディアと国民の知る権利を保護した上での「秘密」で、明かしたくない情報をシュレッダーにかける事など認められていません。


 さらにこの「秘密」の対象が、「その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」を行政機関が「特定秘密」に指定したもの、という、極めて曖昧な内容で、やろうと思えば何でも特別秘密指定ができてしまうものです。


  既にして、法案成立を前提に各省庁で「特定秘密」とされるものは、41万2931件に上り、その中には公安調査庁原子力規制委員会経済産業省総務省財務省厚生労働省金融庁といった感じで、述べさせて頂いたように原子力規制委員会原発の担当の経済産業省も「特別機密」を指定でき、何が「特別機密」か分からないため、福島第一原発事故の情報も、この法案が成立した場合、隠蔽された上に闇に消す事が合法的にできてしまいます。


  その他、公安調査庁も入っていますが、「テロリストや極左極右を対象としてるからいいじゃないか」という方もいらっしゃるでしょうが、国会に議席を持っている日本共産党から、普通のイスラム教徒まで、極めて恣意的に幅広く監視し、以前Winnyで流出して明らかになったイスラム教徒への違法捜査や、日本共産党の緒方氏の家の電話の盗聴など、違法捜査がなされてきたのに、それも「特別機密」指定されたら、また闇に消さます。



 「私は極右極左イスラム教徒じゃないから」という方でも、監視に関しては、正直なところ、誰が対象になるか極めて恣意的で分からないのは、この法案では公務員や「秘密」を取り扱う民間企業の従業員とその家族、親族も「身辺調査」をする事になっていて、実際警察官や自衛隊員などには現時点ですら、「身辺調査」をしている状態で、正直申し上げて、誰が監視の対象で誰が監視の対象でないのか、という事すら「特定秘密」なため分からないし、情報公開も求められないという、極めて危険な法案です。



  また、最初の方で、「国会議員」も処罰対象と監視対象になると申し上げましたが、「裁判官」や「弁護士」も、処罰対象になると申し上げました。当然、逮捕をする警察官もですが、捜査令状に何の被疑事実かが当たり前ですが普通書かれて見せられるものですが、被疑事実が「特別機密」の場合は、それを明らかにしないまま、逮捕や家宅捜索がなされる危険性がある、ということです。また、これは裁判官、弁護士も対象で、裁判官のみには「特別秘密」を提示する場合があるとされていますが、その場合も処罰対象には変わらないので、公判内でそれを漏らしてしまえば、処罰対象になります。


ちなみに、さらりと「共謀」と書いていましたが、これは今まで共謀があったのは組織的犯罪処罰法くらいでしたが、この「共謀」がこの極めて曖昧で広汎で誰が対象になるかよく分からない「秘密保護法案」と合わせて通ると、事実上、今まで何度か提出されては危険性が高いので廃案になっていた「共謀罪」を事実上成立させるものにもなります。「共謀」についても、これまた定義が極めて曖昧で幅広く誰でも対象になるもので、まず二重に危険なものとわかります。



そして、発足してしまいましたが、日本版NSC、国家安全保障会議について、安部首相はその運用のために「秘密保護法」が必要だ、と明言しています。日本版NSCに関しては議論があるものの、NSCは国の重要政策を決めるが、議事録の作成が義務付けられていないため、政策決定の過程が非公開になる恐れがある、という危険性があり、それから見ても「秘密保護法」で自由に秘密に安全保障、といえばいいのですが、場合によってはアフガニスタンなどで米軍と一緒に戦争できるように、定められた戦争司令部、とも言えるようなものかと思います。



そして、この法案に対して、憲法学者ノーベル賞受賞者、メデイア法研究者など幅広い学者や知識人が2000人以上という規模で、極めて危険だと反対をしています。これだけ一致団結して「研究者だけで」2000人という、デモが成立してしまうレベルなほどの反対があり、また共同通信が行った世論調査でも、反対が50.6%と過半数を超え、賛成は35.9%と大差で反対が多く、少なくとも「今国会に拘らず、慎重に審議するべきだ」が82.7%で、「今国会で成立させるべきだ」という12.9%を大きく上回っています。


これだけ民意や学術者から批判されているのに、無理やり成立させようとする安倍政権は一体「何を隠したいのでしょうか」、極めて疑問に思うと共に、恐怖感を覚えます。。。


○ご参考にどうぞ
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/politics/20131203k0000m010153000c.html


○後記
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