参院選2013に関する所感

 ここ半年以上、ブログの方をご無沙汰していて申し訳ありません(汗)2013年の参議院選挙が終わりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか・・・?


 ネット選挙ということで、様々な立場の数多くのブロガーさんや、Twitterなどでの拡散などがなされていましたが、個人的には僕の支持政党は日本共産党ですが、「僕のブログは弱小ブログで、 影響力があまりないから、日本共産党へ投票を呼びかける記事を書ければいいけど、書く余裕がなかなかないなあ」と思い込んでいて、初のネット選挙なのに記事を書かないでいてしまいました。記事の更新をサボっていた上に、お待ち頂いていた方がいらっしゃったとしたら、本当に申し訳ありません(汗)




(1)自民の大勝と「リベラルの敗北?」


 さて、今回の参院選ですが、安倍さんの自民党憲法問題を選挙中ほとんど争点にせず言及をあまりする事なく、景気回復を主に訴えていたようですが、 選挙後は「マニフェストに『自主憲法制定』と書いているのだから、国民の信任を得たという事だ」的な事をテレビで石破さんとかがおっしゃられていた記憶があります。政党への投票とは、一般的には確かにマニフェストというか選挙公約に対する信任とも言えなくもありません。




 しかし、憲法問題やTPPや原発問題には選挙中ほとんど言及せず、景気回復のために安定政権を、というのをゴリ押しして、また、地方ではTPP反対、原発再稼働反対を訴える自民党公認候補をそれがその地方ではウケがいいからと放置してその選挙区の国民に誤認させ、 選挙が終わったら、一体国民の皆さんのどのくらいの方がご覧になられたか分からないマニフェストをそれで信任されたと言えるのか、というと、極めて疑問に思わざるを得ません。




 さて、以前、都知事選・衆院選で「リベラルの敗北」と書かせて頂きましたが、現在リベラルと呼べるのでは、狭い意味では社会民主党日本共産党社会大衆党や無所属のリベラルの方、例えば山本太郎さんなどになると思いますが、合計して非改選の議席と併せた選挙後の参院議席を見ると、16議席ほどに、普通の意味では民主党、生活の党をさらに併せて77議席ほどになるかと思います。
(「リバタリアニズム」という意味では「みんなの党」もリベラルと言えなくもないのかもしれませんが、個人的にはリベラルではないと思います)


 この選挙結果は果たしてリベラルの敗北と言えるのでしょうか?民主党に対する失望感、といったものはあったかと思いますが、元々リベラルと保守の論戦で今回の選挙で最も対立している、憲法改定、TPP、原発問題に関して、与党側があえて避け、「景気回復最優先」を旗印で押し切った、という形なのではと個人的には思います。

その上で、先の衆院選で大きく躍進して二大政党制に危機感を感じさせられた維新やみんなが、7議席で抑えられたのは、ある意味では「自民より右」な「第三極」に国民の支持が集まらず右傾化に歯止めがそういう意味ではかかっているのではないか、だから「リベラルの敗北」とは一概に言えないのではないか、と個人的には思います。




(2)選挙結果をどうみるか、の稚拙な分析


1、民主は惨敗で再生は絶望的か?


  この結果を受けて、どう考えるか、という事が問題になるかと思いますが、一つは「民主党惨敗」、とは言われましたが、それでも議席ベースででの計算ですが、38.6%の人が、正当な批判から極めて猛烈な大量のネガティブキャンペーンまで含めてのあれだけの批判の逆風の中、支持を受けられた、第二党の地位をかろうじて守った、ということです。


  ましてこれが得票ベースにした場合、得票率を考えると、確かに多党状態で選挙に勝てない事はありますが、かといって無視できるわけがない数の得票を得ているかと思います。比例制での得票率の方は13.40%と、公明党の14.22%にすら負けてはいますが、野党の中では第一党の座をギリギリですが保っています。


   これを惨敗と見るか、守れる議席は守ったと見るかは、色々なご意見があるかと思いますが、個人的には守れる議席は守ったが、無党派層の離反が痛く、自民党と同じく、支持母体による一定の得票がある政党としての、底力はあったのでは、と個人的には思います。


  そういう意味では、社会党が分裂して社会民主党になった時の劇的な崩壊まではいかない、民主党」の名前のままかはわかりませんが、支持母体などの存在は以前残っていますから、それを活かしたなんらかの形のリベラル勢力のコアになる可能性はあるかと思います。


  ただ、「民主惨敗」「民主退潮」と煽られて、数的には多い側なのに、維新・みんながコアになって政界再編が起きるとしたら・・・恐ろしいです。旧来の支持層である、労働組合などはどう動くか興味があります。


  しかし、切り捨てられるほど小さい支持母体ではないから延々と支持母体による比例での延命といった形で維新・みんなとは別の勢力として残って、自民批判票がその民主と「第三極」政党と共産党の3つに分裂し、小選挙区制度の前で分裂したそれらの票が死票化して、自民が異常に勝ち続ける感じになる、そういう未来にならないことを願ってやみません。




2、民主離反層の動き・野党側を中心に見てみる


  そして2つ目は、その失った支持である元民主支持層が自民、公明、維新、みんな、共産に幅広く分散した事です。どこに多く移ったか、では確かに31議席と自民が一番多いのですが、個人的に選挙速報を見た限り、候補者の一位の自民に対し、民主、維新、みんな、共産の合計得票数の方が多い選挙区が多かった気がするので、得票率ベースでどれくらい伸びたのかがこれから注目されるところです。残りが維新、みんな、共産に分かれたのだと思いますが、比例代表を見ると維新6、共産5、みんな4と、そういうように支持が分かれる一方、選挙区で獲得した議席数みんな4、共産3,維新2となっています。




  共産が堅調な自民党批判層で「第三極」懐疑層の受け皿になっている一方、みんなの党日本維新の会が、選挙区と比例区で逆転現象が起きているのは、興味深い現象だと思いますし、維新が6と共産5より上回っているのは、まだいわゆる「第三極」への幻想が根強く残っているのだなあ、と個人的には驚きました。維新とみんなは政治軸が近いといえば近いので、実際慰安婦発言の前には選挙協力の話があったように、もしかすると政界再編として、2党が合併する可能性もあるかもしれません。その新しく出来た政党を、また「ほら、民主と第三極に失望した人たち、期待ができる新しい『第三極』ができましたよ」とマスコミなどが持ち上げて票が割れて自民が勝ち続ける、という構図になりかねないと危惧してしまいます。




3、都市部の動向…民主党日本共産党の明暗


  また3つ目は、都市部の動向です。東京、大阪、京都と共産党が選挙区でかなり久しぶりに議席を取りましたが、これはある意味ではすごい事だと思います。東京、大阪は
人口が多いですから定数も多く、東京5,大阪4となっていますから、自民党批判層で「第三極」懐疑層がいて共産が議席を取るのはありえて、実際に獲得することとなりました。しかし、都市部で強いと共産党も言われますが、同じく都市部で強いと言われた民主が、東京、大阪の2大都市圏で定数が多いのにも関わらず、一議席も取れなかった、というのはさらに衝撃的な事だと思います。




  また、京都選挙区では2人区で、元々共産党が強い地域だったのですが、民主も含めたここ20年ほどの新党ブームで、議席を新党に奪われる、という事になっていましたが、関西であるのに自民と共産とで議席を獲得し、先の衆院選で見られた維新ブームが息切れしているのでは、と思いました。少なくとも、何らかの事柄が起こらない限りは、「第三極」が民主の代わりに対抗野党になる、というのは難しい気がしますが、みんなと合併して新しい名前で売り出す、という事があった場合に、いったいどうなるのか心配です。




4、低投票率と野党陣営


  そして4つ目に、戦後3番目の低投票率という問題があります。これは、天候などの要因は投票日の当日の天気見る限り問題なかったので、民主党に期待を寄せていた層が失望して投票に行かなかった、という事が大きいのかと思います。ただ、マスコミでゴリ押しされていた「第三極」という「民主に期待を裏切られた皆さん、新しく期待を寄せられる次の党ができましたよ」と宣伝にも関わらず、無党派層が投票に行くような期待を抱く事が「第三極」ができなかった、という事ではないかと興味深いです。




  共産党は「自共対決」を訴えていましたが、無党派層を投票に行くようなほどまでは惹きつけられなかった、という意味では、残念ながらまだ「自共対決での共産という選択」というのは、まだ国民全体に受け入れられるには「第三極」への幻想が完全になくなった、もう少し先なのかもしれないと個人的には思います。実際問題として、憲法問題では、改憲派が共産・社民以外では、民主も含め幅広く存在し、本来なら政策差の明確化で言えば憲法問題はまさに活躍の場なのですが、残念ながら日常見かける国民の方たちも、自民党など改憲勢力の方たちも、あまり憲法改定の寸前までは、憲法問題を議論するのに消極的なのと、憲法9条に関する日本共産党の立場が、例えば「今すぐ自衛隊を解散しろ!」と言っているのではなど、色々な意味で誤解があるので、「空虚で無茶な理想論を唱えている」と見られがちなのが、困ったところです。政党に関係なくとも、憲法9条の「積極的非暴力平和主義」とは何か、というのが、もう少し広く伝えられていればいいのですが・・・。




(3)終わりに…選挙戦のお手伝いをして思った事と「政界再編」への危惧


  さて、長々と稚拙な政治評論みたいな真似をして申し訳ありません(汗)正直、議席数ベースでなく、得票数得票率ベースで見ないと、選挙区制では分からないので、今後の分析を待ちたいところですが、選挙運動に参加した経験から申し上げさせて頂ける事があるとすれば、政治へのシニシズムが変わらず酷く、憲法改定という問題が具体的に実行されようとしている事を知らない、自民党憲法草案がどのようなものかを知らない方が、ネット上での情報の拡散にも関わらず、かなりの数いらっしゃるというのに驚きました。




  TPPに関しても 知らない方は「なんだか日本経済のために必要ななにか」みたいなイメージが大きいようで、お話をして初めて問題点を知った、という方が街頭ではかなりみられるように思えました。原発問題に関しては、原発はイヤだがもう事故は収束していて電力不足のために仕方ないかも、という方も少なくない気がしました。




  憲法改定とTPP、原発問題という、ある意味、それこそ「国家百年の計」に関わる問題であるのに、今回の選挙ではマニフェストには記載されているものの、与党側からはあまりそれらに対して触れない、もしくは、触れるとしたらその選挙区の「議員個人の意見」として「TPP反対、原発廃止」と訴えるのを見かける、といったところではなかったでしょうか。このような状況で、それらの極めて大きな問題である「国家百年の計」を信任されたとフリーハンドで決めてしまっていいのか、個人的には先述のように極めて疑問に思います。これから3年間、国政では衆議院が解散する自体にでもならない限りは、3年間選挙がありませんが、自民党公明党の暴走をどうやって食い止めるか、そこが問題だと思います。




  先述のように政界再編は必要なのかもしれませんが、維新のような、自民党をより過激にした、言葉が悪いですが、劣化版自民のような感じの政党を中心とした政界再編での政党が「二大政党制での対抗政党」になれるかと言えば、自民と民主ですら、政策の政治軸での差の幅があまり大きくなかったのに、 ほとんど政治軸での差の幅がない、例えで言えば維新のような政策を掲げる新しい政党が「政界再編」として成立した場合で 「二大政党制での対抗政党」とされたら、日本は大政翼賛会の時代に事実上戻ってしまいます。だから政治軸の差の幅が広い、リベラル・左派政党が今、極めて必要になっているのではないでしょうか。


(僕は日本共産党支持者ですが、個人的には、「社会党」という名前は、言葉が悪いですが一種のブランドというかシンボルですから、民主党社会民主党が合併して「社会党」と名前を変えるだけで、旧来、革新自治体などがあった時代のように、革新支持層がその名前によってなかば言葉が悪いですが条件反射的に投票して、1と2分の1政党制までは回復できそうな気もするのですが・・・難しいのでしょうか。。日本共産党支持者なのに、こういう自共対決に反する事を書くとお叱りを頂くかもしれませんが・・・。)


追記
  「民主党のどこが左派・リベラルだ!TPP参加や消費税増税を決め、対東アジア政策も強硬的で、自民党とたいして変わりがないじゃないか!」とおっしゃられる方もいらっしゃるのではと思いますが、社会党の崩壊以降、政治軸の中心が極めて右にずれ、かつ民主はリベラルではありますし、改憲阻止や、賛成を野田元首相は当時表明していても現在一応反対に回っているTPP、原発問題など、早急に自民党公明党の悪政に対抗するのを考える上で、相容れない点はあるにせよ、推移律として最も阻止しなければならないそれらの問題に対して対抗するためには、一致できる点で幅広い連帯を行わなければ、いくら正しくともギリシャ神話のカサンドラのように、言う事はまさに正しいが、しかし阻止する力がない、という結果に終わりかねなく、幅広い連帯の必要性から民主党とも連帯が必要ではないか、と個人的に思い、追記より前のような文章を書かせて頂きました。

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○後記
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