自民党政治の考察と、民主党の「自民党政治化」の不安感

 最近、日本ブログ村の政治カテゴリの掲示板によく書き込ませて頂いているのですが、
そこで「民主党自民党か」というアンケートがありました。そこでの書き込みを推敲させて
頂いて、ちょっと訂正させて頂ければと思います。

 他の記事にもありますように、僕の支持政党は共産党です。
そのアンケートでは、自民党民主党かの二択なため、先述の通り、「少なくとも自民党
ありえない」と申し上げただけで、民主党を積極的には特に
支持しません。
しかし、国民の生活になる政策があれば、それに関しては支持します。




 何故かと言えば、まず、少なくとも自民党は有り得ません。
なぜなら、途中の政権交代を抜かせば、日本の政権を60年間ほど、ずっと担っていた党なのにも
関わらず、その結果としての現状が、今のような状態だから
です。これが外的要因のみならば、
自民党の責任ではないでしょうが、残念ながらこれは自民党の内部的問題が
極めて大きいと思います。

 まず、政策的問題のお話では、少し挙げるだけでも、少子化対策
高齢社会対策、社会保険制度から、経済政策とそれにおける、国債の乱発が
あります。国債は15年前まで200兆円だったのが、800兆円という、
とんでもない額に急激になりました。
その内容が、景気対策だったらよかった
のですが、実際は、効果の望めない、経済波及効果の低い、古典的インフラ
の大型公共事業を地方で行うこと、そして、「財政再建」を旗印にして消費税増税
様々な社会保障の削減を行うとともに、「景気対策のために」と法人税累進課税率を
下げるという、矛盾した内容でした。


 古典的インフラ整備も、支出する項目が効果的で経済波及効果の高いものならば
当然景気対策になったのですが、残念ながら現代の産業連関において、
いわゆるハコモノ大型公共事業というものの経済波及効果は極めて低いようです。
なぜならそれに消費されるのは、コンクリート、鉄鋼などと一時雇用の労働者の賃金、
そしてゼネコンがその中から利益の中抜きをした上で、下請けに丸投げし、ひどい場合は
一次下請けがさらに中抜きしただけで、二次下請けに丸投げし、さらに・・・と、
建設関係ばかりに集中することになったかと思います。


  また、「地方の景気対策のためだ、地方はインフラ整備が遅れている」というわりには、
上下水道の整備をするわけでもなく、行うのは大型のハコモノ公共工事ばかりだった
かと思います。同じ地方経済への景気対策を行うなら、日本が高齢社会化しつつあるのは
すでに80年代からわかっていたわけですし、かつ地方の高齢率の方が高いわけですから、
介護施設、医療施設の整備と、その人的資源への投資を行えば、高齢社会対策にもなり、
かつ、雇用対策にもなり、経済波及効果も土木から高度な電子機器、日常消耗品、医薬品などに
渡って多様に効果があって高く、最も好ましかったはずなのに、実際は前述の通りでした。

 自民党批判になってしまいましたが、本来的な問題はそのような「政策問題」が「自民党政治の本質」
ではなく、政策傾向がそのような形になったのは、主義主張の問題か、といえば、
自民党という政党の政党システムに内在する潜在的問題に、原因があるように個人的に問題が
あるように思えます。例えば、そのようなハコモノ大型公共事業ばかり行って、福祉関連が削減された
潜在的理由は何故か、といえば、「地方の票を『買える』」というのと「リベートが高いから」
あと付け加えれば、これは自民党の制度の問題でなく、当時の一種の風潮で蛇足ですが、
「不動産への信仰」があったのだと思いますが、それは別問題になりますので置いておかせて
頂きます。


 「地方の票が『買える』」と「リベートが高いから」とはどういうことかといえば、自民党について、
フランチャイズ政党」、つまり、候補者は自民党の看板を借りる代わりに、選挙区では
自民党の政策とは異なる政策を述べても、極端に逸脱しない限りは許容する、
という政党システム
が、北海道大学山口二郎先生に以前特徴として指摘されていました。

 そして、小選挙区制度が浸透するまでは、中選挙区制度の元では、同じ選挙区に同じ党の候補者が
立候補するのですが、これは「党」としては両方勝ってもらえれば一番いいのでしょうが、現実的には
「1と2分の1政党制度」といわれはしましたが、社会党が第2党として存在していて、リベラルな人は
自民党以外に投票しますから、どっちか勝てばいい、逆に「どっちの候補者でも勝つならいい」というのと、
かつ「自民党の支持者は、『自民党』という看板では同じである、複数の候補者に、
一票どちらかにしか入れられない」ため、自民党の候補者は「自民党」という看板はあるものの、
基本的には自分で選挙活動をして自分で勝ったなければならない、ということがあります。
一般的な現代の大衆政党なら、選挙に落ちても党での仕事がありますが、「議員に落ちたらタダの人」
といわれたように選挙に負けてもほとんど自民党本部からのフォローがないのは、
自民党幹部というのは基本的に議員が前提だということがあります。

 本来的には、党組織と議員は別物で、例えば党幹部だが議員でない政党幹部というのは普通にいる
のですが、自民党の場合は、どちらがいいか悪いかは別にして、後述のように制度的に議員の力が
圧倒的に強く、議員にならなければ意味がない、というほど議員が強い問題があります。
そのため、選挙に勝ち、勝ち続けるには、「政治資金」が必要となります




 

 そして、「自分の党の同じ候補者同士の戦い」のため中選挙区制は特に陥りやすかった
ですが、今の小選挙区比例代表並立制でも多少はありますことで、
先述のように、かつ、選挙に負けたら国の議員年金くらいしかフォローがないため、選挙では
自民党政治では、党の政策に沿わない政策を主張することが許容されているので、
同じ選挙区の候補者と争うには、リベラルな政策を主張して差別化をはかるか、
利益誘導競争で上回って勝つか
、それくらいしかないことになり、一番簡単なのが、
利益誘導競争
だったので、利益誘導のために大型公共事業を地方議員は呼び込み競争を
しました。

 党の政策との差別化の問題については、他の書き込みでさせて頂くことにして、
そのような「絶対に選挙で勝たねばならない」ため「多額の政治資金を必要」し、
かつ、「地元の選挙区に利益誘導」できるのに一番最適なのが、大型公共事業でした

なぜなら、大型公共事業で多額のリベートを得ることができ、地元に利益誘導をすること
によって票を獲得することができ、建設関係など大型公共事業関連の業者は、基本的に
建設業はいくら機械化が進んでも、非常に人員を多く必要とする業種の一種ですから、
その業者とその業者の労働者の票が得られる、ということができたかと思います。




 

 そして、自民党の党内自体に、様々ないわゆる「派閥」というのがありましたが、
それは、まず第一に次の選挙に勝つための政治資金を得るにしても、議員は一人一票で、
そのままでは利益誘導をしたいと思ってもできませんし、そのため政治資金を得ることが
できません。そのため、「派閥」の「族議員」という、利権を得てそれを守るために生まれた集団に
属することになりますが、それもまた、「フランチャイズ的」で、議員は所属する「派閥」に
「忠誠」を誓うことで政治資金を得て、メンバーの増えた「派閥」側は、それにより、
党内の他の派閥より1票分多く仲間を得られて、そして派閥は利権を保持拡大することと
ともに、「派閥の長」にとっては、さらなる利権を得る手段でもあり、かつ一番の目的である、
「総裁選挙」に勝つための総裁選の一票という大きな票を得られる
、ということがありました。
そして、議員は自らの派閥を大きくすればするほど、派閥からの資金提供と、地元票を得るための
利益誘導ができるようになる、というバーター取引関係が成立したかと思います。




 基本的には総裁選のための票を得る事が目的なため、単一派閥・・・というと、
派閥がない普通の政党という状態のことかと思いますが、それはもちろん起きず、
総裁選の候補者候補の有力議員が、派閥の長となり、他の派閥の長と対立することに
なったかと思います。しかし、候補者は中央政府に公共事業を地方に呼び込み、
それを地元に分配することで、議席を確保でき、その代わり党議拘束の名で、
地元で地元民向けに主張していたことと反する投票を採決で党本部は行えるのが
フランチャイズ政党」なわけですが、その代わり、守っている利権の特徴や、
その自らの選挙区の有権者の支持政策の傾向をフランチャイズで党に反しても
主張して勝った、ということによる、「政策差ある派閥」ができ、
いわゆる「タカ派」「ハト派」という「党内二大政党制」を代表とする、
「党内政党」が生まれてしまいまった
かと思います。
やっかいなことに、さらにその「党内二大政党」の中で、総裁候補の競争があるため、
「派閥」があり、「党内二大政党内政党」という、訳の分からない状態が
成り立っていた
のが、特に中選挙区のときが大きかったかと思いますし、
「そのため」に小選挙区制が導入されたはずだったのですが、いまでも残っている
自民党政治」の本質かと思います。




 これらの問題の最大の原因と問題は、「自民党は現代大衆政党ではなく、
近代名望家政党であり、政党政治における政党ではないこと」、それに尽きる
かと思います。
それは、「総裁を選ぶ選挙での議員票が、党員票に比べて圧倒的に強く不平等なこと」
「基本的に一致した政策を持つ候補者による、政党政治の政党ではなく、フランチャイズ
統一性のない政策が場当たり的に各議員それぞれで比較的自由に主張されていること」
などから思います。

 では、「そうではない政党があるか」といえば、僕は共産党支持者なので太鼓持ちに思われそうで、
申し上げにくいのですが、ウェーバーなどの大衆政党の定義に当てはまるのは、
あえていえば日本共産党と、社会民主党公明党くらいしか思いつきません。
そして、問題となっている現政権党の民主党はどうか、といえば、正直なところ、
掲げている政策は、自民党との差別化を図るために相対的にリベラルですが、
社会党議員、元民社党議員がいる反面、執行部はほぼ元自民党議員によって占められ、
「党内政党」という意味でいえば、自民党より深刻な可能性があるかもしれません。。。
今のところ「派閥」が目立たないのは、今の自民党もそうですが、小選挙区制に変わった事が
一番大きいように思えます。ですが目立たないだけで、「派閥」というより、元々出身の政党が
まったく政策が真逆だった政党の議員同士が合同して作っている党なので、
潜在的に内在しているかと思いますし、以前は1000円を支払って「民主党サポーター」に
なれば、党首選挙に参加できた、のが停止されてのを考えると、民主党が先述のような
自民党政治化」する危険性への懸念を頭をよぎり、現実化することのないことを祈るばかりです。。。

  ちなみに山口先生は民主党の乗り越えなければならない問題点について、鋭いオピニオンをブログで
発信されていらっしゃいます。

http://www.yamaguchijiro.com/?eid=828#sequel


○後記



○後記
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