共謀罪について

共謀罪の問題点


 共謀罪はもともとは、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」が2000年に国連で採択されて、日本もこれに批准したのですが、それを履行するための国内法として整備する、というのが発端として提案されました。しかし、組織的犯罪を取り締まるのが本来の条約の目的なわけですが、法案の法文を見ると「罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を共謀した者」で、「死刑または無期もしくは長期4年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている」犯罪に関して適用される、とされています。


 これはよく間違えられがちなのとして、ニュースなどで見るような判決が4年以上なものを想像して、「懲役4年以上の罪なんて凶悪犯罪ばっかじゃん、普通の人は関係ないでしょw」と言われかねない問題があるのですが、法文に書いているのはあくまで「4年以上の〜が定められている犯罪」であって、条文上4年以上の犯罪は全部対象になります。「実刑判決が4年以上」というわけではないのに注意が必要です


 懲役または禁固4年以上の犯罪とはどんなのがあるかといえば、例えば保護責任者遺棄罪があります。


これは、条文を見ると、


「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。」とあります。「なんだ、妥当な話じゃないか」と思われるかもしれませんが、例えば、


【ケース1】


 今日は新歓コンパ。酒を飲んで一人悪酔いしたやつがいたけど、起こしても起きない。さてどうしようとみんなで話したら、「あ、こいつん家、ここからすぐそこですよ」と言う人がいて、「じゃ、酔いが冷めたら帰れるな。じゃ、今は春だしそこのベンチに寝かせておけば大丈夫だろ」と先輩Aが言い、みんな「そうすっか」といって、他の店に行った。そしてその悪酔いしたB君は風邪を引いた。


                  ↓


  共謀保護責任者遺棄罪の成立可能性あり。サークルの人全員逮捕


 ・・・というような事は極端ですが、共謀罪の対象になる「犯罪」の項目は619に渡るといわれています。問題は「共謀とは何か」ということで、これは刑法の根本的な前提が、なんらかの実行行為による法益侵害があって、それへの処罰が許されるというものに対して、「共謀」という、「話しただけ」で罪が成立してしまうのは、非常に問題だと思います。


 「話しただけで罰されるのは侮辱罪だって同じじゃないか」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは法益侵害をなす言論だから罰されるわけで、ここで問題となっているのは、さきほどの例でいえばサークルの先輩Aが正犯となってしまう可能性があるのは仕方ないにせよ、そこにいた「みんな」も、「そうすっか」と言ったため、共謀保護責任者遺棄罪になってしまう可能性が共謀罪で生まれるわけです(極端な例ですが)


 ちょっと中途半端なところで書きやめさせていただきますが、ホームページの方をご参照して頂くか、スレの方でお話頂ければ幸いです。


人権擁護法案・「共謀罪」設立の危うさ
http://www.geocities.jp/utopian20c/essay/20060122.html


【何が問題か】共謀罪について考える【何故賛成or反対か】
http://yy45.60.kg/test/read.cgi/utopian/1161541857/



○後記
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