グローバリゼーションはどこから来たか

○はじめに・・・「グローバリゼーションはどこからきたか?」


 先日、私が管理させて頂いています「解放された世界」のあるスレッドにて、グローバリズム
についてのお話をする機会がありました。グローバリズムの捕らえ方で、田中宇さんの
「グローバリゼーションはどこからきたか」というご論文をお教え頂き拝見し、「なるほど」と
思いましたが、それと同時に思う事がありました。
 グローバリゼーションがどこから来たかを捕らえるには、その起因を考えてみる事もいい
かもしれませんが、そう考えますと、ソ連東欧の崩壊が一般的には挙げられると思います。
でもしかし、もしかすると、ソ連東欧の崩壊の側が結果で起因がグローバリズムであったと
いえるのではないか、と思いました。そう考えるとさらに過去を考えなければなりません。
以下は掲示板に書かせていただいたものを加筆修正したものです。


○「西側」のグローバリゼーション・・・「国際信用金融システム」の成立


  あくまで私の安直な捕らえ方で考えるとですが、戦後直後から 70年代前後までの経済の
流れは、戦争当時人的物的経済的被害を受けた日本やアジア・ヨーロッパ各国が、
経済復興していく完成の歴史であったと思います。


 しかし、その結果としてアメリカは1971年のニクソンショック、つまり兌換紙幣から不換紙幣
への転換をするわけですが、それは 金本位制から「信用」による経済、つまり
「国際信用金融システム」が生まれ、その結果として生まれたのが、 ブレトン・ウッズ体制の
崩壊から段階的にスミソニアン体制からプラザ合意による、実体経済から乖離・超越した、
アメリカの軍事力と金保有を機軸とする「信用」による経済の構築ということがことがありました。


 また、80年代は5、60年代から求められていたアメリカの場合は公民権法、各国での
労働争議などによる 労働者の待遇改善、「共産主義国」に傾かないようにアメとムチの
福祉国家化が進んだ時代でもあり、 またそれとともに5,60年代から80年代までを通して
右肩上がりだった冷戦による軍拡競争がありました。


 それらの結果、「西側」各国において、労働者の賃金上昇は国際競争力の低下となり、
福祉国家化による巨額の財政的問題がおき、 同時に軍拡競争による巨額の軍事費の
増大が問題となりました。それによって、80年代になって西側各国においては 「小さい政府」
を掲げる新自由主義が台頭しましたが、新自由主義においては福祉などは切り捨てる
ものの、 何故か軍事費だけは上昇をするのを許す、というより拡大させる傾向がありました。
一体何故でしょうか?


 それは「国際信用金融システム」において、それにおいて運動する資本のなり手役が
必要とされるわけで ありましたが、それは確実な信用のあるもの、例えば軍事的支配力、
金保有高などによって担保されるもの、戦後直後においてその役となるものはドルであり
アメリカでした。


○「東側」はどうだったか?・・・国家独占資本主義の行き詰まり


 対して東側はどうだったでしょうか?東側においては計画経済ではありましたが、それらは
社会主義やまして共産主義などではなく、形容するならば国家独占資本主義でした。
そこにおいてソ連が中心としてコミンテルン体制が敷かれますが、その体制は軍事力によって
担保された極めて脆弱なものでした。東側においては「国際信用金融システム」など
生まれず、西側では軍事的経済的にアメリカが機軸国として ある意味安定した地位にいた
のに対し、東側ではソ連は軍事的支配力はあるものの、経済的支配力があまり なかった
ため(もちろん東側諸国の主な貿易先はソ連でしたが、経済活動自体が統制経済であるため
脆弱でした)、軍事力を対アメリカという意味合いだけでなく、コミンテルンコメコン体制を
保持するために特に必要としました。


その結果、プラハの春ポズナニ暴動とその鎮圧などの政治的抵抗運動がありましたが、
東側はソ連が軍事力で「東側」という単位を保持しているだけの脆弱な「世界体制」でした。


 そしてそれらの軍事力による経済的負担がピークに達し、また、前述させて頂いていません
でしたが、 80年代の情報化の到来と混合経済によって西側国民の有する「豊かな生活」、
もっと言い換えれば 大量生産大量消費経済後期から「欲望」による経済の豊かさを、
情報化により流れてくる情報で東側国民は眺めていました。それに加えソ連の軍事力は
財政的にも技術的にも人的にも、もう限界まで達していて、「東側」が成り立たなくなった、
整理しますと、「上」の東側支配層は前述のように支配力に限界がきていて、経済力も限界に
来ている、そして「下」の国民の側は情報化で垣間見た大量生産大量消費経済の後期から
「欲望」による資本主義の豊かさを見て、かつ困窮の度合いもピークに達していている
状態で、その結果として、「ソ連崩壊東欧革命」がほとんど無血革命でまるで支配層が
おさえつけることを放棄したようなおだやかな革命が起きたのだと思います。


○おわりに


 そのように、冷戦終結後に見受けられたかに見えたグローバリゼーションは、むしろ
結果の側ではなく、起因の方だったように思います。さらにいえば、グローバリゼーション
自体は資本主義が始まった黎明期から存在したと思います、なぜなら「資本」とは無属性の
無限なものですが、それが資本主義の発達の中で爆発的に顕著に運動するのは、
「信用」による経済と情報化の成立による、「理想市場」の実現以後ではないかと
思います。



○後記
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