アベノミクスについて考える

 第二次安倍内閣はまだ発足していませんが、経済政策として「アベノミクス」というのが言われています。これはご存知のようにレーガノミックスと同じくエコノミクスを名前でもじった名前です。


 個人的には政治面において第二次安倍内閣に危機感を非常に強く持っていますが、金融緩和自体は、今の日本経済には必要なものだと思っています。
円高貸し渋りでデフレの酷い日本はよく形容されるように貧血なようなもので、金融緩和自体は必要なものだと思います。


 インフレを懸念して金融緩和をしなかった代々の日銀総裁の考えがあったのでしょうが、どう考えてもデフレが酷い状態で、資金供給が足りていなかった、というのを考えると、「日銀文学」と呼ばれたあの結局結局何もしないというような姿勢を見ると、日銀の独立性の問題がありますが、日銀は日本経済の状態を把握していないのではないか、カップラーメンの値段を知らないとかで首相が批判されていましたが日銀はそれ以上に実体経済に疎いのではないか、ある程度の政府介入が必要な状況ではないのか、と思ってしまいます。


 しかし、ここまで国債が増えて国債格付けも下がるのを考えると、国債の利率が上がって利払いが増え、また長期金利が上昇する危険性が当然ありますし、それによる景気後退の危険性があります。また、その金利分を日銀に国債を買いオペさせる、とした場合、日銀の独立性の必要性の一番の問題である、ハイパーインフレーションが懸念されるかと思いますし、かなり慎重な、金融市場をよく見極めた上での金融緩和をしないと、懸念の通りになるかもしれません。イングランド銀行のキング総裁が「金融政策は退屈であるべき」と言っているように、市場を見ないあまりリスキーな金融政策は危険だと思います。


 加えて、企業が長年続いた円高で海外に生産拠点を移しているため、適正な円安に誘導する必要があるかと思います。しかし、円安のために国内に生産拠点が帰ってくる可能性もありますので、その辺は短期的には海外に生産拠点を持ち、国内に回帰してくるまでの間のゆるやかな円安、長期的に円安というか、1ドル90円〜100円の間で円の価値を安定的に抑えられるか、それとも一時的なものになるかによって変わってくるかと思います。
(個人的には金融政策の変化を見てヘッジファンドが円に対して攻撃をしかけないか心配ですが。。)


 また、その金融緩和で得た資金を国土強靭化に使うと自民党は言っていますが、大型公共事業の経済波及効果は、産業連関する業種が限られていて限定的で、民主党の「コンクリートから人へ」は経済波及効果を考えれば正しかったと思いますし、もし大型公共事業への回帰が高度成長時代のインフラの劣化・耐震工事をせず金融緩和によって作った財源を新しい大型公共事業に回すとすれば、非常に残念というか、小渕元首相のやった国民から借金して無駄なものを作って借金のみ残る、ということにならないか、心配です。



 なにより賃金がインフレに比例して上がる可能性は、公的には最低賃金を引き上げるくらいしか手がないので、結局いわゆる「実感なき景気回復」にまたなるのではないかと懸念しています。問題は金融緩和で得た資金を消費に回るよう中間層以下の方達に配分されるかという事で、それは「物価が上がるのだから賃金も上がるはず」といった論理では、現在のいわゆるブラック企業などを見る限り、自動的には上がらない、「実質的に勝手に賃下げできてラッキー」と賃金が変わらない可能性があるので、政府による最低賃金の上昇、労働基準法の順守の徹底化をしなければ、それなしに物価上昇のみすれば、単なるスタグフレーションになり、結局企業と株主しかメリットのない政策になりかねないのを懸念します。。。




○後記
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