エッセンシャルオイルの有機化学的効能についての雑学メモ
一般的にアロマテラピーというと民間療法ですが、一応科学的には精油の成分分析は
なされていて、有効成分などが分かってきています。「香り」を「嗅ぐ」から
「別にそんなもん気分転換の道具なだけだ」と思われるかと思いますし、
実際そういう面はあるかとは思うのですが、アロマ=香りと思うとイメージが民間療法、ファッション的
に思ってしまわれるかもしれませんが、エッセンシャルオイルの元はハーブで、
ハーブの精油を濃縮したものを用いるのがアロマテラピーですし、それにハーブ自体は
薬草と訳されるように、 元々は化学が生まれるまでの、漢方のように用いられていた
立派な医薬品だったということです。。
ですからそれの精油だけを濃縮したアロマのエッセンシャルオイルでのアロマテラピーは、
一般的なアロマポットでのものの場合は、気化吸引ですから
そんなに劇的な効果が見られないように見えますが、用いようによっては効果的です。
例えばユーカリのエッセンシャルオイルを空気中に散布すると、たいていの細菌・ウィルスが
死滅するそうで、成分としてはモノテルペン系アルデヒドのシトロネラールによる効果です。
有機化学を学ばれた方ならご存じのように、「芳香族」というものの身体への
影響はかなり大きいです。一番極端な例はシンナーでしょうか。あれはもちろん
化学合成によるものですが、有機化学上の分類は芳香族炭化水素なわけで、
その気化したものを吸引した場合の身体への影響はご存じの通り劇的です。
そのように、いわゆるアロマのエッセンシャルオイルとかハーブの成分は、
例えばよく「フラボノイド」という単語がCMで使われていますが、お菓子や清涼飲料水などに
入ってる程度の量は たいしたことないと思いますが、元々フラボノイドは
フェニルクロマンを構造式に持つ芳香族化合物で、決して軽視できるものではないと思います。
それらハーブの中にある芳香族化合物を用いた療法は、薬事法の対象外だからこそ
民間療法なだけで、医学的にはそもそも中世ヨーロッパ時代には製薬化学など
なかったですから、例えば中世当時の最も権威のあったサレルノ大学の医学部などで、
製薬化学や外科手術法が発達していなかったので、当たり前といえば当たり前なのですが、
ハーブについてが学ばれ、実際ペストや黒死病の流行の際には、殺菌剤としてセージやマジョラム、
ローズマリーなどが用いられたりされたそうです。
ですのでアロマテラピーは香りの人間に与える効果もあるかと思いますが、
基本的には芳香族化合物などの有機化合物の吸引による治療、と言えるのかも
しれません。